教育のためのグローバルキャンペーン (GCE)
教育協力NGOネットワーク (JNNE)
プレスリリース

「初等教育が完全に普及すればエイズ感染者は700 万人減る」



2004年6月8日


 初等教育が完全に普及すれば、今後10年間のエイズ感染者は700万人減るという 画期的な調査報告を「教育のためのグローバルキャンペーン」(GCE)は本日発表した。
  「生存のための学び−教育はHIV/AIDSから子どもを救う」と題する報告書は、小学校を卒業した15歳から24歳の青少年層は、小学校に行けない子どもと比べて、エイズに感染する率が半数であるという新たな調査結果に基づいている。
  特に若い女性層がエイズに感染しないために教育は非常に効果的であるにもかかわらず、先進国による初等教育分野の援助額が不足しているために1億の子どもが学校に通えていない。現状の傾向が続けばアフリカではすべての子どもが小学校に行けるようになるのにあと150年かかる。
  元オックスフォード大学教授で、世界銀行の教育・エイズ主任専門員を務めているドン・ブンディー氏は、「エイズ問題を解決するうえでGCEの調査結果は重要な分岐点となるだろう。初等教育が完全に普及するとエイズ感染者がどれだけ減るかについての推計がなされたのは初めてだ。数字はショッキングであり、いかなる推計であれ慎重になされなければならないのであるが、GCEの推計方法は科学的な根拠に基づいている。この数字はひかえめであるかもしれない」と述べている。
 報告書はジョージアで今週始まる先進国首脳会議に対して、エイズ問題を解決する戦略の一つとして初等教育への援助を拡大するように呼びかけている。
 すべての子どもが小学校に行けるようにするために必要な援助額は56億ドルで、この金額は世界の軍事費の3日分にあたる。日本政府を含む先進国はエイズ感染者への支援の強化だけでなく、エイズの社会的なワクチンである初等教育分野の援助を貧しい国々に対して行うべきである。
国連のデータによるとアフリカのニジェールでは小学校を修了していない成人男性のうち13パーセントしかコンドームを使用していないが、小学校を修了した男性は30パーセントが使用し、中等教育を受けた男性は64パーセントが使用している。ニジェールでは130万人の子どもが小学校に通っていない。初等教育を重視したニジェール政府は、過去5年間で小学校の入学率を34パーセントから42パーセントに向上させた。ニジェール政府が立案した教育開発計画は、ファストトラックイニシアチブという初等教育分野の国際協力のメカニズムによって承認された。
しかし先進国による支援額はあと3200万ドル不足している。



「生存のための学び」の主要な論点は、以下のとおり。

● 教育はエイズ問題解決のために必要な多様な分野による戦略の一つにすぎない。エイズ感染者のケアーや 治癒、支援、防止策とともに教育活動が実施されなければならない。初等教育の完全普及は、青年層の行動の変化を促進し、エイズ感染者を半減させる。教育は青少年の判断力、自信、人間関係における意思決定能力を高め、エイズ予防のための行動の変化を促す。さらに学校で子どもたちはエイズや性と生殖に関する健康、生きていくための技能を学ぶことができる。

● 教育は特に女子と女性の力を高め、エイズ予防に効果的である。32カ国の調査結果によると、健康そうに見える人でもエイズ感染者である可能性があることを知っている読み書きのできる女性は、読み書きのできない女性と比べて3倍であり、エイズを予防する方法を知っている読み書きのできる女性は、読み書きのできない女性と比べて4倍である。ケニアでは就学中の17歳の女子は、就学していない女子と比べて4倍、初めての性交の時期が遅い。

● 11カ国での世帯調査によると、何らかの教育を受けた女性は、最近の性交の際コンドームを使用する率が教育を受けていない女性と比べて5倍高い。世界ではエイズ感染者の3分の1が15歳から24歳の青少年層で、新たな感染者の半数以上は青少年層である。

● ウガンダではエイズの感染率が1990年の15パーセントから2000年の5パーセントに減少した。90年代半ばに実施された初等教育の無料化によって入学率は2倍に向上したことが、エイズ感染率の減少に寄与した。現在学校で約1000万人の生徒がエイズ教育を受けているとウガンダ政府は推定している。この結果青少年層の性的行動に大きな変化がもたらされ、ある郡では1994年には13歳から16歳の子どものうち60パーセントが性交の経験があると報告されていたが、2001年には5パーセントに減少した。

ファストトラックイニシアチブとは、初等教育の完全普及を達成するために2年前の世界銀行の春季会合で先進国が合意したメカニズムである。途上国が健全で実施可能な教育開発計画を立案すれば、先進国は不足する資金を支援することとされる。現在イエメン、ガンビア、モーリタニア、ニジェール、ブルキナファソ、ガイアナ、ニカラグア、モザンビーク、ガーナ、ヴェトナム、ホンジュラス、ギニアの12カ国が対象となっている。

教育のためのグローバルキャンペーン(GCE)は、90カ国の教員組織、教育分野で活動するNGOの連合体で2000年に設立され、構成団体の総会員数は3,000万人を数える国際ネットワーク組織。本部事務局はブリュッセル。教育協力NGOネットワーク(JNNE)は、教育協力分野で活動している23の国際協力NGOの連合体で、JNNEはGCEの日本でのメンバー団体である。


本件についてのお問合せや本報告書の抄訳をご所望の方は、下記にご連絡ください。
教育協力NGOネットワーク(JNNE)事務局長 三宅隆史
(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)気付 
TEL: 03-5360-1233 
FAX: 03-5360-1220
E-mail: jnne@sva.or.jp

本報告書の原文(英語)は、http://www.efekt.net/downloads/Print%20GCE_Report.pdf
にあります。

以上


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