教育協力NGOネットワークによる日本政府の自発的国家レビュー案のパブリックコメント
(4)「国際協力と基礎教育の支援」(79頁)についてコメントします。「教育を後回しにできない基金」 に新たな資金拠出を行ったこと、「開発協力大綱」に万人のための質の高い教育、女性・こども・若者のエンパワーメントや紛争・災害下の教育機会の確保が明記されたこと、国連教育変革サミットでESDの推進を表明したことが言及されているのは良い点だと思います。
一方、以下の2点の大きな課題が残されていることが言及されるべきだと考えます。第一に、日本の基礎・中等教育分野援助額はODA総額の2.8%(2019年実績)とOECD/DAC加盟国平均の7.3%と比して極めて低いことです。「地球規模課題に対する取組のうち日本の強み」として第二位に教育があげられているという世論調査結果(VNR案9頁)は、基礎・中等教育援助の拡充に対する国民の強い支持を示しています。
第二に、学校を攻撃の対象とせず軍事目的として利用しないことを目指す「学校保護宣言」に日本は賛同していないことです。同宣言の賛同国は2025年現時点で121ヶ国、今年1月に米国政府が賛同に回り、日本政府はG7で賛同していない唯一の国となってしまいました。紛争が増加、長期化、複合化している国際社会の状況を踏まえ、日本として「学校保護宣言」に迅速に賛同することをVNRに追記することを要望します。