【活動報告】SDG4教育キャンペーン:6/15(土)「オンライン授業① 難民キャンプでの子どもたちと教育・学びの場」を開催

現在実施中の「SDG4教育キャンペーン2024」では、全4回のオンラインを行います。
6月15日(土)に「オンライン授業①【はじめの一歩】 難民キャンプでの子どもたちと教育・学びの場」を開催しましたので、その内容について報告いたします。

こちらに掲載している動画とあわせてぜひご覧ください。

1回目の実施となる6月15日(土)のオンライン授業では、ロヒンギャ翻訳士の長谷川留理華さんをゲストにお迎えし、現役の日本の先生である松倉先生・関先生がモデレーターを務めながら、紛争下の教育や難民の現状について対談しました。学生や先生、教育支援の活動をする団体の方をはじめ多くの方にご参加いただき、ロヒンギャの人々の暮らしや教育の現状について理解を深める授業となりました。
授業は、
<第1部:難民問題と教育について>
<第2部:教育をあきらめないために>
<第3部:あなたの思いや考え>
の内容に沿って実施しました。

それぞれの内容について、先生や長谷川さんの発言に沿ってご紹介いたします。

<第1部:難民問題と教育について>
まず、松倉先生より、難民問題に関する次のような説明がありました。

(松倉先生)「2023年末時点で、世界の難民の数は約1億1,730万人にのぼり、うち約40%が子どもです。今回私たちが焦点をあてるロヒンギャの方々は、現在のミャンマーに住んでいた民族であり、第二次世界大戦後の政治的な対立によって差別や暴力行為が発生し強制的な避難を強いられました。ミャンマー隣国のバングラディシュ・コックスバザール難民キャンプでは約90万人の難民が暮らしています。遠い国の出来事と思われがちですが、日本に暮らすロヒンギャ民族の方がいらっしゃることは知っていてほしいと思います。」

松倉先生の説明を受け、本日ゲストにお迎えした長谷川さんに、自己紹介、またロヒンギャ民族の歴史や背景についての説明をしていただきました。
(長谷川さん)「私は今、日本で長谷川留理華という名前で呼ばれていますが、もともとはミャンマー国籍でミャンマーの名前をもった一人の女性です。ミャンマーから日本に家族と共に来て帰化し、現在は裁判所や法律事務所でロヒンギャ語・ミャンマー語・日本語の翻訳をするなど様々な活動をしています。また、子どもを5人育てています。」
「ロヒンギャの人々は、バングラディシュとの国境に近いミャンマーの地域に昔から住む民族です。ほとんどの人がイスラム教を信仰しており、顔や言葉がバングラディシュと似ていることから、ミャンマー政府から違法な移民ではないかとされてきました。政府からは様々な制限がロヒンギャ民族にかけられ、例えば医療や結婚・出産の制限、そして教育も制限されています。」

続いて、長谷川さんに国内外に逃れているロヒンギャの方々に教育の現状について教えていただきました。
(長谷川さん)「バングラディシュのロヒンギャ難民のための学校ではミャンマー語を教えていません。ミャンマー語が分からないといずれミャンマーへ帰ったときに言葉が理解できず、またバングラディシュの人ではと指摘されるのではないかと思います。また、私はバングラディシュで学校を経営していますが、バングラディシュ政府から学校の認可が下りず、難民の子どもたちに高校の教育を提供できないという問題があります。これはとても残念なことです。子どもたちの失った今日は明日戻ってこないので、もっと良い教育を与えたいと思っています。」

<第2部:教育をあきらめないために>
第2部では、まず関先生に、戦争や紛争が教育に与える影響について説明していただきました。

(関先生)「戦争や紛争が教育に与える影響は様々あります。学校施設の攻撃や軍事利用をはじめとし、学校や通学路で性暴力を受けることや、子ども兵士として徴兵されることがあげられます。危機下においても子どもたちは教育を受ける権利を持っており、何よりも子どもたち自身が教育を受けたいと願っています。安全な環境での学びは子どもたちの安心にもつながります。」

このような話を受け、長谷川さんより、教育支援の課題の中の「子どもたちのストレスに関すること」についてもお話を伺いました。
(長谷川さん)「子どもたちのなかには、ミャンマーで深いトラウマ・ストレスを負った子たちがいます。家族が性的暴力を受けた、殺害されたといった辛い記憶から薬物を使って逃れようとする子もいます。また、暑さが厳しい地域ですが空調設備がないため暑くてとても学習できないというストレスもあります。さらに、自然災害の問題もあります。」

自然災害や気候危機と学校施設の問題について、現地でどのようなことが起きているか詳しく教えていただきました。
(長谷川さん)「電気が来ないのでソーラーパネルを設置したのですが、サイクロンが襲い被災し、使えなくなってしまいました。また、ブルーシートのような屋根では、厳しい暑さをしのげなかったりしています。子どもたちに“勉強したい”という気持ちがあるのに、施設の問題でできないのは1番辛いことです。先生たちもいて子どもたちもいる、いくらでも教えたいし吸収したいと思っている人たちがいるのだから、なんとか施設をよくしたいです。日本は学校の施設について私たちよりもたくさん知識を持っていると思うので、ぜひいい考えがあったら共有してほしいと思います。」

このような状況の中、多くの子どもたちが、教育をあきらめたり、不安な気持ちを抱いたりしているという現状がありますが、子どもたちはどんな思いを持っているのでしょうか。
(長谷川さん)「学校に行く前の子どもたちは、いつか自分たちをいじめた人に復讐したいと話していました。しかし、学校に通い教育を受け始めた後には、復讐をするのではなく僕らがどんなにいい人なのか見せたい、ロヒンギャもミャンマーの子どもたちも守れるように勉強すると話していました。さらに最近は、難民キャンプの中だけじゃなくて、いつか日本やアメリカやいろいろなところで学んでリーダーになって、今度は自分たちが教える側に立ちたいと話しています。教育がなければ、復讐したいという気持ちのままテロ組織の勧誘にのってしまっていたかもしれません。どんな時でも教育は大切です。」

第2部のまとめとして、教育をあきらめないことの重要性、またオンライン授業の参加者のみなさんに長谷川さんからメッセージをいただきました。
(長谷川さん)「私が大事だと思っていることは3つあります。知る、広める、交流する、の3つです。様々な難民がいますので、彼らを知るには交流することが大事です。そして、知ったことを広めることで次の世代に伝わっていきます。これは大きな贈り物です。ぜひ今日知ったことを、こんな話聞いたよと誰かに話してみてください。」

<第3部:あなたの思いや考え>
最後にオンライン授業の参加者のみなさんと一緒に、長谷川さんの話を聞いての思いや感想を共有しました。多くの方が「もっと知りたい」「心配だ」「驚いた」という気持ちを寄せてくださいました。また、これからもっと知りたいこととして、「難民キャンプの教育や支援の様子」「子どもたちの学びに対する想いや考え」といった声が聞かれました。紛争下の教育を守るために私たちに何ができるのか、引き続き今後のオンライン授業のなかで一緒に考えていきたいと思います。

7月8日には第2回のオンライン授業を開催予定です。
バングラディシュの難民キャンプからライブ中継し、子ども・保護者・教員・支援者それぞれの想いをおとどけします。

7月の授業については当サイトを通して詳細をお伝えします。引き続きご関心をお寄せください。


アーカイブ動画は、以下のリンクよりご覧ください。

【第1部】難民問題と教育について
【第2部】教育をあきらめないために​
【第3部】あなたの想いや考え

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次